石膏の利用(石膏ボード)
ここまで石膏の供給面を話題にしてきましたが、これからの数回で石膏の使われ方を見てみましょう。
国内で石膏を一番使用しているのは石膏ボード業界です。原料として二水石膏を購入され、板状に加工して製品にしています。
二水石膏を120〜150度で焼成すると化合水を放出して半水石膏(焼石膏)になり、これに加水すると結晶が絡み合いながら成長して二水石膏固化物になる性質を持っています。石膏ボード工場ではこの性質を利用して、水溶きした半水石膏をシート上の紙に流し込んで板状に成形しています。
石膏ボードが普及した大きなポイントは高い耐火性能を持っていることが理由と考えます。
石膏は結晶中に20%の水分を持っており、火災の際に水分が蒸発しきるまで温度上昇を防ぐ、熱伝導率が低い、炭化・崩壊しにくいことから火災発生時の延焼を防ぐ目的で幅広い建物で利用されています。
製品の大部分が石膏ですので、原料石膏への不純物混入を嫌い、主に天然石膏・硫酸合成石膏・電力由来化学石膏を使用されています。石膏ボード業界では416万トン/年の石膏が消費されており、内訳は天然石膏165万トン・化学石膏251万トンになっています。
国内各地域に石膏ボード工場が存在しており、安定的に流通している点も普及の要因ですね。