石膏発生の仕組み(その他)
電力や非鉄製錬以外で石膏発生量の多い、酸化チタン、リン酸、フッ化水素酸他の製造工程を見てみましょう。
酸化チタン
原料であるイルメナイトに硫酸を加えるとチタンが溶解し、チタンを抽出した後の廃液には硫酸イオンが残るため、それを炭酸カルシウムで中和処理することで石膏が生成されます。
(反応式)CaSO4 + H2SO4 + H2O ⇨ CaSO4・2H2O + CO2↑
廃液には鉄も含まれているため、一般的に酸化チタン由来の石膏は鉄灰色〜鉄錆色をしています。
リン酸
リン鉱石に硫酸を加えると副産物として石膏が発生します。リン鉱石にカルシウムが含まれていることから、この工程では炭酸カルシウム等の石灰を加えることはありません。
(反応式)Ca5(PO4)3F + 5H2SO4 + 10H2O ⇨ 3H2PO4 + 5CaSO4・2H2O + HF
フッ化水素酸
蛍石に硫酸を加え、ロータリーキルンで焼成することでフッ化水素酸と石膏が生成されます。このプロセスでは高温で処理されることと反応工程に水がないことから生成される石膏は無水石膏となります。
(反応式)CaF2 + H2SO4 ⇨ 2HF + CaSO4
生成直後の石膏は酸性が強いため、石灰を混合して中和しています。
これ以外にも、ポリ塩化アルミやクエン酸製造の副生、芒硝と塩化カルシウムの合成等で石膏が生成されています。