石膏の利用(セメント)
セメントの製造工程では、クリンカーと呼ばれる高温焼成物に石膏を3~4%混合することで最終製品(セメント)が完成します。
石膏の役割はセメントの凝結時間を調整することにあります。先に述べたクリンカーにはアルミン酸三カルシウムが含まれており、水と反応して急速に硬化しますが、石膏を加えることで反応速度を抑制して、施工時に適切な作業時間を確保することが可能になります。又、石膏は硬化後にセメントの収縮やヒビ割れを抑える作用もあり、耐久性の向上にも寄与しています。
一般的にセメント製造には二水石膏が使用され、多くのセメント工場において様々な工程から発生する化学石膏が活用されており、この部分から見ると持続可能な建設資材となっています。
セメント製造工程では、石灰石の脱炭酸作用が働くことで二酸化炭素の排出が避けられませんが、一方で環境対策として発生した石膏を始めとした多くの副産物・廃棄物を受け入れられている点を評価すべきと考えます。