石膏の価格体系
石膏需給を深く知るために、その価格体系を知っておきましょう。
個別の取引単価ではなく、価格決定の要素についてです。
種別毎に置かれている立場を理解していきます。
国内化学石膏(副産)
・国内市場の6割を占める
・数量のコントロールができない
・価格は市場に左右される
国内化学石膏(合成)
・必要に応じて生産、但し生産能力に上限あり
・原料が副産物
・費用の積算で価格決定
輸入天然石膏
・必要に応じて輸入、但しリードタイムは最低3ヶ月必要
・他国の需要により数量・価格に制約が掛かる場合あり
・費用の積算で価格決定
一般論として、国内生産される石膏の価格が輸入石膏よりも高ければ、需要家は輸入石膏を優先して購入するでしょう。国内化学石膏の多くは副産物で数量の確約ができません。故に国内の石膏価格は輸入石膏の日本着価格が上限となり、品質や数量安定性、立地条件(物流の難易度)により価格が決定されています。
輸入天然石膏の日本着価格は、財務省が発表している貿易統計で調べることができます。2024年の平均単価は6,100円/トン($40.6)で、ここ10年の価格推移は3,500円/トン〜6,000円/トン程度です。
海外石膏需要家の意見を聞いてみると、副産物である化学石膏を有効利用している日本の市場は特異とのこと。化石燃料を使用する火力発電への風当たりが強くなっていますが、副産物の有効利用度を含めて総合的な判断する機運が広まることを期待します。天然石膏も無尽蔵ではないでしょうし、周辺環境への配慮も必要です。
日本人にとって普通である「もったいない」「お互い様」の気持ちが市場環境を作っていると考えています。